イケメン倶楽部
「いってらっしゃい!」
本当は今すぐにでも泣き出してしまいたいのを
ぐっと堪えて笑顔で見送った。
「良い仔にしとけよ?」
子供じゃないんだから…
そんなこと言われなくたって分かってるつぅの…!
「そうそう、それから……愁。葵に手出すんじゃねぇぞ。」
えっ?!
愁…?
確か琉依は見送りを全員断ったって言ってたのに…
空港のロビーの10メートルほど離れた場所に、愁が腕を組んで立っていた。
Tシャツにジーンズという何ともラフな格好でこちらに向かって歩いてくる。
「僕は好きな女の子が悲しむようなことはしませんよ。」
「そっか。それは安心だな。」
「でも、いつまでも先輩みたいに余裕顔してると、葵の方から逃げ出しちゃいますよ?」
「ご忠告ありがとう。」
二人共、笑顔で会話をしているものの、その言葉にはお互い刺がある。
「琉依…」
「んな淋しそうな顔すんなよ。逢いたかったらいつでも逢いにきてやるからさ。」
いつでもなんて無理なくせに…
でも嬉しい。
琉依のその気持ちだけで十分。
いつまでだって待てる気がする。