イケメン倶楽部



「いってらっしゃい!」



本当は今すぐにでも泣き出してしまいたいのを



ぐっと堪えて笑顔で見送った。



「良い仔にしとけよ?」



子供じゃないんだから…



そんなこと言われなくたって分かってるつぅの…!



「そうそう、それから……愁。葵に手出すんじゃねぇぞ。」



えっ?!



愁…?



確か琉依は見送りを全員断ったって言ってたのに…



空港のロビーの10メートルほど離れた場所に、愁が腕を組んで立っていた。



Tシャツにジーンズという何ともラフな格好でこちらに向かって歩いてくる。



「僕は好きな女の子が悲しむようなことはしませんよ。」
「そっか。それは安心だな。」
「でも、いつまでも先輩みたいに余裕顔してると、葵の方から逃げ出しちゃいますよ?」
「ご忠告ありがとう。」



二人共、笑顔で会話をしているものの、その言葉にはお互い刺がある。



「琉依…」
「んな淋しそうな顔すんなよ。逢いたかったらいつでも逢いにきてやるからさ。」



いつでもなんて無理なくせに…



でも嬉しい。



琉依のその気持ちだけで十分。



いつまでだって待てる気がする。







< 392 / 432 >

この作品をシェア

pagetop