初恋ベンチ
春の視線
あたたかい春の日差しが照らすなか、君と私は偶然に出逢った…――







私は香川麻矢(かがわまや)。
どこにでもいるようなごく普通の女子高生。
今年の4月、念願の滝川高校に入学して大変だけど充実した毎日を送っていた。





「やばいやばい!遅刻しちゃうよ~!」

「麻矢~?早くしないと時間よ~」

「わかってるっ!じゃ、いってきまーす!」

「気をつけて行くのよ~」



たくさんの荷物が入ったかばんをつかみ、あわただしく家を出て行った。




「もー、髪の毛ボッサボッサだしっ」


私の通う滝川高校は家から徒歩と電車でだいたい1時間半くらい。
親に無理を言って私立の高校に通わせてもらったので、多少遠くても文句は言えない。



麻矢はいつものように近所のコンビニで昼ご飯を買っていき、駅まで全力ダッシュしていた。



~♪~♪~♪


走っている途中で電話が鳴った。
たぶん親友の亜由だろう。


「ピッ…はい、もしもし。亜由?」

「麻矢!まだ駅にも着いてないの?!また遅刻するんじゃない?」

「ほんとに時間、間に合わなそう~」


上がった息を抑えながら話す。



「まぁ麻矢のことだから先生も許してくれるでしょ!」

「へへへっ…んじゃ、いまダッシュしてるから出来るだけ急ぐわ!」

「はいはーいっ。気を付けてね~」



亜由からの電話を切って、麻矢は学校へと急いだ。
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