忘れはしない
笑顔
「飯まで作ってもらって……。なんて言ったらいいか、その、ありがとう」

「いいんです。もともとそのつもりで来たんですから」

散々泣いて気が緩んだのか、不覚にも腹がなってしまった俺を見て、早紀ちゃんは笑いながら飯を作ってくれた。

いやな顔ひとつせずに。


ほんと、いい子だよな。

俺より、三つも下とは思えないくらいしっかりしている。

「早紀ちゃんは、強いな」

「え?」

「俺は、優希のいない世界を受け入れることが出来ず、何回も死のうと思った」

怖かった。今まで当たり前だと思っていた、最愛の人との時間。

それが、いきなり終わりを迎えてしまったから。

「でも、君は違う。優希の、……死を受け入れた上で、こんな俺まで助け出してくれた。ほんと、すごいよ」

「そんなことないですよ。これでも、すごく落ち込んでるんです。お姉ちゃん、……大好きだった、から」

何か思い出したのか、言葉を詰まらせる。

「お葬式が終わって、あぁ、お姉ちゃんはもういないんだって実感しました。でも、まだ信じられなくてずっと泣いてたんです」


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