ラブ☆ヴォイス

近くて遠い君

* * *

「おぉーこれでみんな集合だね!」
「遅くなっちゃってごめんなさいっ!」
「ううん。女の子はゆっくりでいいんだよー?じゃ行こうか。」
「はいっ!」

 このホテルは目の前に海があるということでフロント前には水着のお客さんがたくさんいる。やけにカップルが多い。

「唯。」
「…なぁに?」
「お前、フラフラどっか行ったりすんなよ?」
「はぁ?そんなことしないよっ!」
「昔っから人混みだと迷子になんだろ…。」
「昔のことじゃんそんなの!」
「かき氷とか勝手に買いに行って帰ってこれなくて探しに行ったら半べそとか普通にあったよな。」
「みんなの前でそんな最悪な話掘り返さないでっ!」
「海来たら思い出したんだよ。」
「バカバカバカ!光のバカーっ!」

 光の腕を叩いてから、唯はあっくんをゆっくり見つめた。一瞬目が合って、すぐに逸らされる。胸がざわつく。

「唯ちゃんと光くんって幼馴染なんだっけ?」
「そうですけど…それが何か?」
「うわー俺にまでそんなきっつい顔しないでよ。いやー仲良しだなーって思って。」
「ちっ…違いますっ!仲良しなんかじゃありませんっ!は…早く海入りましょっ!行こう、華!」
「ちょ…唯?」

 唯は華の腕を掴んで海へと早足で向かった。
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