ラブ☆ヴォイス
 マンションに着き、達也が車のキーを抜いた。そしてそのキーを唯に手渡す。

「…御堂、家にいるって。」
「え…?」
「ていうか家にいろって言っておいた。だから、キー返しておいてくれないかな?」
「…あたし…が…?」
「言いたいことが冷めないうちに言っちゃった方がいいと思う。特に唯ちゃんの場合はね。それに…。」
「…?」
「御堂も待ってるはずだから。扉を開けてくれる人を、ね。」

 そう言って達也がにっこりと微笑んだ。その笑顔が優しくて、なんとなく勇気づけられる。

「…言うって決めたから…頑張ります。」
「…うん。大丈夫だよ。御堂は、唯ちゃんみたいな子を心の底ではずっと待ってたから。」
「え…?」
「ちゃんと確かめておいで。自分の気持ちもだけど、御堂の気持ちも。届いているか届いていないかも含めて。それにね、訊きたいことは訊いていいんだよ。唯ちゃんは訊くべきだ。御堂の口から御堂の言葉で。…たとえちょっと辛くても…。…頑張れ、唯ちゃん。」

 両肩に手を置かれ、クルリと向きを変えられる。そして軽く背中をポンっと押された。

「行っておいで。」
「はいっ!」

 唯は走った。自分の部屋の、隣まで。
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