ラブ☆ヴォイス

やっと君に辿り着いた

＊　＊　＊

　言葉にすれば酷く単純に聞こえる。なぜこんなに口にするのを躊躇っていたのか、自分じゃ説明なんてできないほどに。
　目の前の唯の瞳にじわりじわりと涙が溜まっていく。嬉しそうな顔でもあり、でもくしゃっとすぐに歪んでしまいそうでもあって面白い顔だ。…面白いなんて言ったら怒るんだろうけど。
　最初は最悪だったんだ。話した通りに。嫌で嫌で仕方がなかった。あんな想いはもうしたくないし、恋に臆病な自分を晒すことだってしたくなかった。―――見たくないものには全て蓋をしたかったんだ。
　それなのに…唯の前では蓋なんて何の意味も持たなくて。唯がこじ開けてくれるのをどこかで待っていた自分もいたりするということに気付いて。

　最初は強く張っていたはずのバリアが、いつの間にか…本当にいつの間にか、いらなくなっていた。
　〝そのまま〟でいても、迎え入れてくれる場所。声優としての自分が始まりでも、そこでは終わらない自分を受け入れてくれる彼女。
　そのストレートすぎる想いが、どこかでやっぱり心地良かったんだ。想いそのものがあるだけで、〝幸せ〟だと感じていた。―――本当に、いつの間にか。



〝やっと君に辿り着いた〟



　今なら確かにそう言える。
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