ラブ☆ヴォイス
「いってぇー!今手加減しなかっただろ?」
「お前に手加減いるか?」
「ひっでぇ!」
「唯はしばらくやんねーよ。お前は亜実で我慢しとけ。」
「言うねぇー…でも、いい顔。」
「うるせーよ。」

 バシッともう一度背中を叩いて、スタジオに入る。休憩は終わりだ。

「いってぇー…マジで。」

 背中をさすりながらそのままソファーに腰掛ける達也を横目で見て、明博は台本を見つめた。

「…タツのくせに生意気なんだよ、バーカ。」

 そっと呟くように落とした言葉。それに呼応するかのように達也が口を開いた。―――決して聞こえはしない、けれど。

「御堂、かっわいーなぁー…って、また殴られっか…。」

 唇の動きだけで読めちまうんだよ、バーカ。
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