ラブ☆ヴォイス
「久しぶり…だな…ちゃんと会えるの…。」

 想いが通じた8月末からあっくんはものすごく忙しくて(というのも色んなイベントとかがあって)、9月中もまとまった休みというのはなかった。少しは会ってもいたけれど。でも、なんだかあっくんがすごく疲れていたため、長い時間を一緒に過ごすということはどちらからともなくしなかった。唯としてはちゃんと休んでほしいという思いがあったからだ。

 今は夕方4時。30分で帰ってくる。

「…会える…。」

 電話もメールも、前よりはずっとマメにしてくれるようになり、メールも唯を気遣う内容が多くなった。電話の声はどうしようもないくらい…

「甘い…んだもん…。」

 元々役柄で甘い声を出すことはあった。それでドキドキすることだってもちろんあった。だけど…それとは違う。確かに唯が過剰に自分だけにという部分を意識しているという事実はあるけれど、それを差し引いても甘い。それも格段に、特別に。

「うぅー!あっくんに会う前からこんなドキドキしてたら…あたし…。」

 あっくんの顔見ただけで爆発してしまいそうな気がする。それじゃなくても甘いあっくんに耐性が全くと言っていいほどない。
想いの届いたあの日…抱きしめられたあの感触が今も鮮明に思い出せる。強い腕も、全身を包むあっくんの香り、そして低くて甘い声…。思い出すだけで頭が沸騰してしまいそうだ。
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