ラブ☆ヴォイス
 電話から20分が経った。とりあえず家の中にいられなくて、唯は玄関のドアを開けた。その時…

「タイミングいいな、お前。」
「あ…あっくん…。」

 エレベーターを丁度降りたあっくんが、ゆっくりとこっちに向かって歩いてくる。…あっくんだ、本物の…。

「あっくん…本物…?」
「ったりめーだ。信じられねぇんなら、信じさせてやるよ。」
「へ?」

 そっと顎を持ち上げられて、近付いてくるあっくん。ちゅっと音がしたと思ったら、唇に熱だけが残る。

「あああああああっくん!」
「動揺しすぎ。でも、分かっただろ?現実だって。」
「わ…分かったけどっ!」
「…久しぶりだな、こうしてちゃんと会うの。」
「う…うん。お仕事お疲れ様!おかえりなさい。」
「…ただいま。」

 耳元であっくんが囁いた。
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