ラブ☆ヴォイス
* * *


「朝から可愛いねぇーユイちゃん。絶叫告白?」

 唯が走り去った後、ドアからひょっこりと顔を出したのはタツだ。案の定、顔はにやついていて、気色悪いことこの上もない。

「あいつの『好き』は『おはよう』みてぇなもんだ。」
「好きだから分かるのって言葉はちょっとたまんなくね?」
「たまんなくねぇよ。」
「あーあ。そんな冷たいあっくん、すぐ嫌われちゃえばいいのにー!それで泣いてるところを俺が優しくしてゲットしたい!」
「おう、持ってけ持ってけ。あんなんいらねぇ。」
「そんなこと言っててチョコあげちゃうなんて可愛いよねーあっくん♪」
「…てめぇ…バカにしてんのか。」

 基本は御堂呼びなくせに、人をからかおうとしているときだけあっくん呼びになる分かりやすい奴。

「いや?微笑ましいなぁーって思ってるだけ。」
「何か貰ったら返す。それだけのことをしたまでだ。」
「でもユイちゃんはそうは思ってないよ?のど飴一袋貰っててお返しチョコ一粒とかそもそもつり合ってないし。」
「だから食わせてやっただろ?」
「まぁーそのオプションも価値アリだけどさ。にしてもホント可愛いなぁ。チョコ一粒であんなに喜んでくれるなんてね。」
「…お前さ、覗き見とか悪趣味。」
「可愛い子だから仕方ない。見逃して。」
「勝手に言ってろバーカ。」

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