ラブ☆ヴォイス
「…そんな真面目な顔で言わないでよ。びっくりしちゃうから。」

「え…?」

「ありがと。気持ち、ちゃんと分かったから。」


彼女が一番優しい顔で微笑む。
…俺はこの表情にとことん弱いんだ。


いつもは結構毒舌だし、彼女的に軽く殴ってるつもりでも結構痛かったりするし、会う度に美人になってくから気が気じゃなかったりするけど…
それでも彼女が今こうして、そばにいて、俺に優しく笑いかけてくれる。


こんな時間を共有できるのは、今世界にたった一人、俺だけだから。





「あー…ダメ。マジで離したくなくなる。」

「はい?」

「早く帰ろう。我慢の限界。」

「…なに?なんなの?」

「もう今日はずーっと離さないことに決めた!ぎゅーってしまくる!」

「はぁ!?あたしは寝たいんだけど?」

「寝ていいよ。俺の腕の中でだけど。」

「達也の家のふわふわベットの上がいい!」

「俺の腕の方がふわふわだって!」

「んなわけあるか!」

「ダメダメーもうぎゅーってするって決めたから諦めて!」

「意味分かんない!」


でもそんなことを言いながらも、君はきっと俺の腕の中に小さく収まってくれるってこと、俺は知ってる。
そして今日は君をこの手に抱いて、幸せを感じながら眠るんだ。


「ねぇ亜実ー。」

「何?」

「ちゅーしていい?」

「ダメ。」

「帰ったらでいいから!」

「…帰ったら、ね。」


*Fin*

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