ラブ☆ヴォイス

二人の映画観賞方法【唯side】

*唯side*

「『…君の夢が叶う時、俺の夢も叶うから。』」
「…っ…もう!集中できない!」
「んだよ…この俺が生で言ってやってるのに。」
「生だから余計ドキドキして映画なんて頭に入って来ないんだってば!」
「だってそれが面白くてやってるんだし?」
「あっくんのバカ!もー一人で観る!」

 あっくんの足の間に座らせられ、後ろからぎゅっとあたしを抱きしめた状態で自分が声をあてた映画を観る。これがあっくんのお気に入り映画鑑賞方法。な・の・だ・け・ど。あたしが集中して映画を見終えたためしがない。
 それもそのはず。耳元で甘い声で囁かれれば…無理、だもん。

「もートイレ!」

 あたしはあっくんの腕から出て、トイレへと向かう。そしてトイレの中で一呼吸。

「…もー、いい加減慣れなさい、あたし!」

 いつまで経ってもドキドキが抜けない。慣れるってことを知らないあたしの心臓は、あっくんの近くに居るだけでどうしようもなく鼓動を早めてしまう。
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