ラブ☆ヴォイス
 嫌、だ。あっくんのこんな声を他の誰かが聴くことが。子どもじみたことを言えば、あっくんが他の女の声優さんと恋愛アニメに出演することだって嫌なのだ。その人と一緒に取材を受けて雑誌に載ったり、楽しそうにラジオを収録していたりすることなんて考えたくもない。あっくんの声が聴きたくて、あっくんの気持ちが知りたくて、アニメもラジオも雑誌も手当たり次第に聴いたり読んだりするけれど、もっと一緒にいられたらと思わない日の方がなかった。
 だから、嫌だった。唯一独占できていると思っていた、自分だけに甘いあの声が、商品になることが。

「…泣くなよ。」
「だって…やなんだ…もんっ…ひっく…」
「ヤキモチ妬かせよーって思ったらこんな効果出るなんてな。つーか、泣くなって。」
「っ…なんか、止まんないっ…。」

 あっくんが唯をそっと抱き締めた。唯の耳に当たる吐息は温かくて優しい。

「悪い。断れなかったんだ。昔からよくしてくれたプロデューサーの新しい企画だったから。お前に黙ってようとも思ったけど、後から知るのも嫌だろうなと思ったから言った。
…ヤキモチ妬かせたかったのもあったけど。」
「ヤキモチなら、いつだって妬いてるもん…。」
「そうなんだけど、お前、全然出さねぇから。」
「え…?」

 あっくんの言葉で唯の涙が止まった。全然出していない?そんなことはないはずだ。いつだって心は寂しくて、抱き締めてほしくて仕方がない。
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