ラブ☆ヴォイス

ヤキモチのその先

 ベッドにそっと下ろされて、唯は自分の身体をぎゅっと抱きしめた。こうなることは初めてではないけれど、何度しても行為自体への慣れも、精神的な慣れも生まれてくれないのだから困る。

「…久しぶりには久しぶりだけど、そんな身体強張らせるほどか?」
「っ…だって…。」
「ま、止めてはやんねぇけど。」

 そう言ったあっくんの身体が唯に覆い被さった。唯の頬に触れた手はこの上もなく優しい。その手がそっと頬をなぞると、唯の身体に鳥肌が立った。

「相変わらず敏感、だよな。」
「っ…あっ…。」

 あっくんに耳を舐められ、思わず声が上がった。その声を聴いたあっくんは舌を止めない。舌は首筋を這い、細い指は唯の服のボタンを外していく。

「あっく…ん…。」
「なに?」

 余裕のなさそうなあっくんの顔が少し見上げた先にある。声はさっきCDで聴いた声よりもずっと…

「…CDよりずっと、…ドキドキする…。」
「当たり前。」

 あっくんの唇が唯のそれに重なった。ほんの少し前に重ねたキスとは違って、甘く深く交わっていく。あっくんの舌が唯の下を絡め取る音がやけにリアルに響く。何度も何度も重なる唇に、唯のほうはというと力がどんどん入らなくなっていく。

「なに…?もう、限界?」
「…とろけ、そうっ…。」
「まだまだ溶かす。」

 それだけ言うと、下着も完全にはぎ取られた胸にあっくんが顔を埋めた。あっくんの右手が方胸を揉み、もう片方には舌が這う。甘い吐息が両胸にかかると、唯の体の熱も上がっていく。

「…胸、でかくなったよな。」
「っ…そんなことっ…ないっ…。」
「一番触ってる俺が言ってんだから間違いない。」
「い、いまっ…そ、そんなこと、言わないでっ…。」
「そんな顔でそんな声出すのが反則だろ。」
「へっ…?」

 あっくんが手と舌を休め、唯の耳元に口を寄せる。そしてそっと、囁いた。

「…可愛い。だからもっと、声、聴かせて?」

 あっくんのほうがずるい。自分の何倍も。唯がそう思うくらいに甘い声で囁くあっくんが、少しだけ意地悪く笑った。
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