ラブ☆ヴォイス

誓いはベッドの上で

「お前、なに熱出してんだよ!」
「…ごめんなさ…。」
「別に謝んなくていいけど。」
「……。」

 待ちに待ったあっくんのオフが明日に迫ったというのに、肝心の唯ときたら昨日から体調が悪く、今日はついに発熱してしまった。今は午後8時半。あっくんは仕事を終えて帰って来たところだった。

「俺の指示通り寝てたんだろうな。」
「…あっくんのベッド、お借りしました。言い付け通り。」
「よし。んで熱は…。」
「んっ!」

 ひたとあっくんの額が唯の額に重なった。ひんやりしたあっくんの額に、じわりじわりと自分の熱が伝わっていくのを感じる。顔が近すぎて熱が高くなった気さえする。

「あー…結構あるな。もう1回熱、測ってあとで教えて。食欲は?うどんとかあった気がするんだけど。」
「だ、大丈夫だよ、ご飯なら自分で…。」
「だめ。」
「ひゃっ!」

 ぐいと肩を押され、ベッドに押し戻される。押し戻されたというよりはむしろ、押し倒されたと言うべきか。

「このままキスもできないような身体で何言ってんだっつーの。俺にお前を充電させるためにも早く治すのが優先。治ったらベッドから一日中出さねぇからな。」
「へっ?」

 そんなことを想像するだけで熱が2度は上がってしまいそうだ。唯はそれを隠すために布団に潜った。そんな様子を確認したあっくんは満足そうに優しく笑った。

「よーし、それでいい。熱だけはちゃんと測れよ。うどん、作ってくる。」
「…ありがと。」

 パタンとドアの閉まる音がした。あっくんの足音が少しずつ遠ざかっていくのと同時に、唯はゆっくり目を閉じた。
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