月花の祈り-宗久シリーズ小咄3-
手紙
『宗久、久しぶりだな


息子の葬儀以来だろうか



今回、この手紙をお前に送ろうか、随分と迷った


だが、今の俺達夫婦を救えるのは宗久、お前だけなのだ



お前にとっては不本意かもしれない

それでも俺達には、どうかお前が来てくれる様にと祈る事しかできない




お前に頼みたい事とは、亡くなった息子…貴志(たかし)の事だ



宗久…

どうか俺達を救ってはくれないだろうか


良い連絡を待っている



赤島 貴好(たかよし)』






そんな手紙が届いたのは、つい二週間前。

十二月に入ったばかり、寒さが冬を思い知らせる頃だった。



「あなた、赤島さんから手紙が届いておりました」


期末テストの準備の為に帰宅が遅く、一人食卓にて夕飯をつついていた時だ。


妻が一通の手紙を僕の前に滑らせたのは。



「赤島先輩からですか?」


それは、白い封筒に包まれた質素なもので、何となくただの近状報告内容では無い様な気がした。




赤島貴好は僕の三年上で、同じ大学の先輩だ。

正しくは、僕の友人の知り合いなのだが。
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