月花の祈り-宗久シリーズ小咄3-
大学一年の夏、人数合わせの為に無理矢理連れて行かれた合コンで、赤島先輩と知り合った。
やけに明るい人で、その心にも裏表が無く、初対面で好感を抱いた。
友人には、合コンで男と仲良くなってどうする、と言われたが。
赤島先輩も僕を気に入ってくれ、色々と世話をしてくれた。
一人暮らしの僕を気遣い、実家住まいの先輩の家へと夕食に招いてくれたり。
大学を卒業してすぐ、先輩は子供が出来たと結婚し、すぐに会える距離では無くなってしまったが、付き合いは続いていた。
最後に会ったのは一年前。
先輩の息子、貴志君の葬儀の時。
小学五年生だった貴志君は、先輩と川釣りをしている最中、溺死した。
先輩の目の前で……。
『宗久…よく来てくれた…』
葬儀に顔を出した僕の肩を、縋り付く様に掻き抱いた先輩。
背に添えられたその手から、先輩の悲しみと共に事故の様子が、鮮明な液晶画像の様に僕の記憶へと流れ込んできた。
穏やかな川の流れ、そこに膝まで浸かり、釣り糸を垂れている先輩と貴志君。
『貴志、あまり川岸から離れるな』
.
やけに明るい人で、その心にも裏表が無く、初対面で好感を抱いた。
友人には、合コンで男と仲良くなってどうする、と言われたが。
赤島先輩も僕を気に入ってくれ、色々と世話をしてくれた。
一人暮らしの僕を気遣い、実家住まいの先輩の家へと夕食に招いてくれたり。
大学を卒業してすぐ、先輩は子供が出来たと結婚し、すぐに会える距離では無くなってしまったが、付き合いは続いていた。
最後に会ったのは一年前。
先輩の息子、貴志君の葬儀の時。
小学五年生だった貴志君は、先輩と川釣りをしている最中、溺死した。
先輩の目の前で……。
『宗久…よく来てくれた…』
葬儀に顔を出した僕の肩を、縋り付く様に掻き抱いた先輩。
背に添えられたその手から、先輩の悲しみと共に事故の様子が、鮮明な液晶画像の様に僕の記憶へと流れ込んできた。
穏やかな川の流れ、そこに膝まで浸かり、釣り糸を垂れている先輩と貴志君。
『貴志、あまり川岸から離れるな』
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