恋に落ちた、この瞬間。
「この部屋を出て、右側にドアあっただろ? そこを開けたらすぐに分かるから」


「ん、ありがとう」


クルリと回って、背を向けてトイレに消えていった。



もしかして…… ずっと我慢してたんか?


まおにしたら、やっぱり俺は“怖い存在”なんだな。

俺って…… そんなに怖いか?


“話しかけるな”なんてオーラは出している気は“全く”無い。



どちらかと言ったら……。
まおには、気軽に話しかけてもらった方が嬉しい。


俺の何がダメなんだ?


「いっくん、トイレ。 …… ありがとう」


…… すぐに分かったみたいだな。

まあ、狭いアパートの一室だ。
適当に歩けばすぐに分かるんだけどな。



「………」


まお? トイレから戻ったら、イスに座っていてもいいんだぞ。


「……… なんで、ここにいるんだ?」


「お昼の準備、手伝う」



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