恋に落ちた、この瞬間。
「入るからなー」


さすがにあれだけ咳をしていると気になる。


俺の部屋だけど…… 変な“緊張”に襲われながも、足を進めていく。


昼間だって咳はしていたが…… 今は台風が接近している。

そのせいで体調が悪くなっているに違いない。


眠っているまおに近付くにつれて、緊張が大きくなる。



「まお?」


「スゥー、スゥー……」


なんだ…… ちゃんと寝てるじゃん。


「ゴホッ、ゴホッ」


昼間よりも夜にゼンソクの発作は起きやすいって聞くから、今はしょうがないか。


ただ……、まおがぐっすり休んでくれればいい。

それだけなんだ。


「ゴホッ、ゴホッ」


布団を丸め込むように眠る、まおの背中を擦ってやる。


少しはラクになるんじゃないか?

初めての家で寝るなんて不安なはずなのに……。 そこに“ゼンソク”なんてオマケまで付いて、ずっと不安だったに違いない。


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