恋に落ちた、この瞬間。
俺だって家族の一員。

母さんと父さんが家に帰ってから少しでも楽なように洗濯とかしてるんだ。


俺がバイトしなくたって生活は出来る。
小遣いだって貰える。

だけど……。
なんだか、自分で納得出来なくて、夏休みからバイトを始めた。


「はい、まおちゃん。
紅茶を淹れたからどうぞ」


「ミルクティーだ!」


トレーにカップを2つ置いて、テーブルに近付いた。


ふーん、まおって“ミルクティー”好きなんだ。

俺はどう考えたってコーヒーの方が好きなんだけどな。
まあ、今日はまおに合わせるかな。



「ほらよ」


「ん、ありがとう」


あっ……。
俺ん家に来て初めてまおが笑った。
ずっと不安そうな顔をしていたもんな。




「まおちゃん、樹」


カバンを片手に持って、少し時間を気にしながら母さんが立っている。


もう仕事へ行くんだな。

気をつけて!




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