恋に落ちた、この瞬間。
クルクルっとしていなくて、真っ直ぐ肩まで伸びている髪をただ、ボーッと眺めていた。


触りたいとか、そんな変態っぽい事は一切無い。

ただ、時々揺れる髪の隙間から見えるまおから……。 目が離せなかったんだ。


難問にぶち当たった時に眉間にシワを寄せ、必ず首をどちらかに傾ける。


そして、シャーペンをムダにカチカチし出す。


迷惑かどうか聞かれたら……。
それは、もちろん決まっている。

―――迷惑だ。


でも、なんでかな?

『ウルサイッ』と怒ることが出来ない。


怒ってもいいが…… コイツが怖がって俺に近づかなくなりそうなんだよ。

さっきだってそうだったからな。



まおとはクラスは違っても同じ高校だし、家だって近い。


だから気まずくとかはなりたくない。


今はまず……、この堅苦しい空気を解きほぐす方が大事だな。



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