維新なんてクソ食らえ後始末が大変でしょ。浅木の巻
浅木が居間で待っていると、


前掛けを外しながら

白髪の老人が入ってきた。






若宮重守。

今は小料理屋の店主だが、

元お庭番集頭領、

従業員からは重爺とか爺様とか

呼ばれていた。





浅木は懐から手紙を出し

重爺に渡した。



重爺は手紙を読んだ。






「そうか、


 医者を志して

 長崎で修行したのか」




「はい。


 これからは


 人を救いたいとおもいまして」





「人斬りの償いか」




浅木は黙って頷いた。




「儂から良庵先生のには言ってある。

 どのくらいの腕か見たいと言っていたから、

 明日にでも挨拶に行くか。


 それと、


 部屋は空いているから

 今日からしばらくは

 ここに住みなさい」




一通り話しが終わると

店の方から小春が重爺を呼ぶ声が聞こえてきた。



「店に行かないといけないが、

 ゆっくりしていってくれ」



重爺は前掛けを手に持った。


浅木も店を手伝いに後に続いた。
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