維新なんてクソ食らえ後始末が大変でしょ。浅木の巻
浅木は小料理屋から良庵の医院に通う生活にも慣れてきた。

そもそも、若宮家は今は小料理屋をしているが、元はお庭番の頭領で御家人の家柄だ。


使用人達も幕府が無くなるこの間までは忍者だった。


皆、料理を運ぶのにお膳5つ重ねてもひっくり返す者などいない。


維新後は新政府の情報収集の役割をしているらしい。


何度か、警官が店に出入りするのを見たことがある。


広い屋敷の敷地の中には、鍛錬のために道場があった。


夜になると道場の方から、パンパンという音がしていた。




ある夜

浅木が覗くと小春と重爺が立ち会っていた。


二人とも使っていたのは、小太刀の木刀だった。


「隠れて見てないで、出てきなさいよ」

と、小春が言った。

浅木は道場内に入った。


「君も少し体を動かしてみたらどうかな。わしでは小春の相手はつとまらなくなってきているからな」


重爺が浅木に言った。


浅木は道場の壁に掛けてある普通の木刀をとった。


浅木と小春は向き合って、軽く一礼した。


浅木と小春は何度も打ち合った。


浅木の腕が優っていたし、小太刀が短い分不利なのか優勢だった。
< 8 / 35 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop