維新なんてクソ食らえ後始末が大変でしょ。浅木の巻
「ちょっと見て欲しいものがあるのですが」


浅木は身を正して、着物の上をはだけた。


そして、胸のあざを良庵と重爺に見せた。


あざは鬼の顔の形をしていた。


「先生。これをご存知ですか」


良庵の眉間にシワがよった。


重爺は視線を畳に置いた。


「重さん。知っているならお前から話してやらんか」


良庵が言った。


「通称、三年殺し。そのあざが広がって、心の蔵に達した時に……死ぬ」


浅木はうなずいた。

「やはり、そうですか。幕末に、鬼陰という者と戦った時につけられました」


良庵が元気づけるようにいった。


「あざをつけたものを殺れば解けると聞いたことがある。だが、迷信じゃろう。心配するな。俺が薬で治してやる」


良庵はしっかと浅木の腕を握りしめた。
重爺が何か隠しているのか何か言いたそうだった。
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