双子悪魔のホームステイ



「返事して下さい、ディザス君!ディザス君ってば!」


「うっ……。」


結祢が抱き起こして体を揺すると、ディザスは顔を歪めて小さく声を漏らす。



「おい、ディザス!聞こえているのか?」


「う……んっ?クレイと……結祢ちゃん……?」


顔を見下ろして問いかけるクレイを、ディザスはうっすら目を開けて見返した。

瞳にはルビーのような真紅の輝きが戻り、表情も虚ろではなく人懐っこそうないつものものだった。


ディザスは大丈夫だよと結祢の手を振りほどき、上半身を起こす。



「俺……気を失ってたの……?」


「えっ……覚えていないんですか?ディザス君、まるで別人みたいに……」


「結祢!話は後にしろ。手当ての方が先だ。」


クレイはその話には触れるなとばかりに、厳しい口調で結祢に言う。

結祢はビクッと肩を震わせて、こくりと素直に頷いた。



「そ、そうでした……。星駆君、ケガは大丈夫ですか!?」


「あっ……結祢ちゃん!」


ディザスは左手を伸ばして呼び止めたが、結祢は振り返らずに星駆の側へと駆けていった。
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