双子悪魔のホームステイ


卵型の顔から年もまだ幼く見え、一見すれば人形みたいにかわいいが、手に持たれた鏡からは不釣り合いな物体が姿を見せている。

……濃い緑色の太い腕。
二人が“魔手”と呼ぶ物体だ。



「遊びたくないんですってばー!他の人と遊んで下さいよー!」


「……嫌だ。」


「アバリィ達はお姉さんと遊びたいの。」


泣き叫ぶ結祢を、双子の天使は翼をはためかせて執拗に彼女を追いかける。

距離がどんどん狭まっていた。


魔手の指先が、結祢の背にあと数センチで触れそうだ。



(今日って厄日なんですか、神様。私が一体何をしたっていうんですか……。)


ひたすら走り続けながら、結祢は今日一日の出来事を思い返していた……。
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