双子悪魔のホームステイ
「なんだよ、その拍子抜けしたような顔は。“俺様にとっておまえは特別な存在だから”なんて言われるとでも思ったか?」
クレイはニヤニヤ笑いながら、結祢の顔を下から覗き込む。
「お、思っていませんよ!」
結祢は頬を赤くしつつも、強い口調で返す。
それを聞いたクレイは、ふうんと興味を失ったように結祢から離れた。
「自惚れてねえならいいんだけどよ。さて……そろそろ寝るか。おまえも遅くならねえ内に寝ろよ。」
「あっ、クレイ君……」
くるりと背を向けてソファの方に歩き出したクレイを、結祢は思わず呼び止めた。
クレイはピタリと立ち止まり、なんだよと振り返らないまま尋ねる。
「な、何でもないです。お休みなさい……。」
「何でもねえって……相変わらず変な女だな、おまえ。」
クレイはククッと笑い声を混ぜて返すと、再びソファの方へ歩き出した。
少しずつ遠ざかる彼の背中を見つめながら
(本当に……ただの気まぐれなんですか?まだ何かを隠しているんじゃないですか……?)
結祢は心の中で問いかけたのだった……。