いちばんの星 -side episode-


――――――


それから瞬く間に時間が過ぎていった。



城を辞めるとミュリエルに告げてから、一度も言葉を交わしていない。



式の準備で城中が慌ただしいという事と、ラナ自身もまた、準備で忙しかった。



城を辞めるための荷造りと、エバンとの式に向けての準備だ。



「ふぅ」



一日の仕事が終わり、ラナはベッドに倒れこんだ。



そして、テーブルにある紙の束に目を向けた。



(エバンさん…)



その紙は、毎日のようにエバンから届く手紙だった。



惜し気もなく愛を注いでくれるエバンに、少しずつラナは惹かれていた。



< 74 / 107 >

この作品をシェア

pagetop