いちばんの星 -side episode-
しばらくの間スティークが遠征で城をあけていた事もあり、ずっと姿を見ることがなかったからかもしれない。
ラナは確実に前へ進んでいた。
「そうだわ」
はっと何かを思いだしベッドから起き上がると、ベッドの横にある引き出しを開けた。
それは真っ白な封筒で、ただひとつだけ、「ミュリエルへ」とだけ書かれていた。
おそらく自分が城を辞めるまでの間にミュリエルとゆっくり話す事ができないだろうと考えたラナは、自分の思いをこの手紙に込めたのだ。
「ミュリエル…」
その手紙をそっと胸に寄せると、目をつぶったラナは静かに親友の名前を呟いた。