もし明日が見えなくなっても切ないほどにキミを想う。



医学を全て学んだ慧斗は別に、あたしの病気にこだわらなくてもいい。
慧斗の好きな道に、行けばいい。


「俺はやりたいことしかやってない」


だから、心配するな、という。
近くにいるはずの慧斗の顔をあたしは見ることはできないけれど優しい顔をしていると思う。


「それより、体は、大丈夫か?」

「順調………元気一杯だよ」


クスリと笑うと、慧斗はあたしの膨らんだお腹に手で触れる。
すると、喜んだようにお腹の中で動いた。


「………ほんとだな」

「きっと男の子だよ」

「かもな」


顔を見合わせて笑いあう。
あたしのお腹の中には赤ちゃんがいる。
慧斗とあたしの子供。


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