僕の初恋(仮)
「ふふ。じゃあ・・・教えちゃうよ?」



何故かちょっと得意そうにこっちを見てくる先生。


そう言われると、何だか自力で当てたくなる・・・



「え、・・・嫌だ。当てる」


先生は再び顔を綻ばせながら言った。


「じゃぁ、宿題ね」




あっと言う間に駅に着いて。


もっとこの道のりが長ければ、なんてちょっと思った。




改札を抜けて、方面が反対の俺は一番線への階段に向かった。




「また来年ね。良いお年を」


「うん、じゃあね先生」





反対側のホームに着いて、2番線を見れば丁度電車が到着していて。


姿は見えないが、多分先生は乗り込んだんだろう。



ブザーが鳴り、電車が発車する。



ゆっくりと進み始めるその中に、椅子に座る先生の後ろ姿を見つけた。




俺は自然と見つめた。



見送るように、その姿が見えなくなるまで見つめ続けた。




―風は、冷たい。




先生が振り向く事は無かった。
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