Dear...
クラスの女子が、手首を切った傷口を自慢するかのように見せびらかしていた。物珍しそうに集まっている他の女子も、内心気味悪がっているか、キチガイ扱いしているんだと思う。同情が欲しいだけだ。本人が気付いていなくても、だ。

「…また、やってる」

手首を切っただけで死ねると思うな。ぼそ、と孝司が呟く。


薄皮しか切ってないじゃん。死のうと思うならさ、ココ切んなきゃ、ココ。
頸動脈を指さして、笑っていた。
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