愛しのマイ☆ドクター
『・・・?』



顔全体で

大きなクエスチョンマークを

作っているような美羽に

ぼくは勇気を振り絞って言った



『そ・・・それれは・・・ぬ、脱いでく、ください』



舌がうまく回らず

恥ずかしくなったけど

それを聞いて

あっけらかんと

ニットのセーターを脱ぎだす美羽



ぼくは全神経を

医師としての

自分に集中させた



胸の音を聴いて

喉の奥を見て

あっかんべーさせて

(この美羽もむちゃむちゃかわいかった)

眼球をチェックして

診察ベッドに寝かせて

胃や腸を触診して



ひととおりやってみたけど

特に異常は見つからなかった



なので

採血と尿検査をすることにした



『そしたら ちくっとするよ』



美羽は何も言わず

注射器の先が皮膚に埋没して

自分の血を吸いあげていくのを

じっと見つめていた
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