愛しのマイ☆ドクター
僕は院内携帯で岡崎さんに連絡を入れてから向かいの病室のお母さんを呼びに行った






そう 僕には医師としての最後の仕事があった





死亡を確認して遺族に告げなければいけないのだ






泣きはらしたのだろう



お母さんの目は腫れあがっていた






僕は岡崎さんとお母さんが立ち会う中で



美羽のまぶたを開いてペンライトで



瞳孔が開いているのを確認し



『11・・・時・・・57分・・・です・・・』



と死亡時刻を告げた




それだけ言うので精一杯だった






僕は涙があふれだしてくるのを止められずに病室を出た






深夜の病院は静まり返っていてまるで世界が終わったみたいだった






中庭に出て天を仰いだ






東京の空なのになぜか今夜は星がたくさん見えた






いつだったか僕に急に声をかけて驚かせた美羽のことを思い出した
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