愛しのマイ☆ドクター
その後

他の子どもたちの

病室をまわり

さまざまな

仕事を片付けていると

夕食をとるヒマもなく

約束の時間がやってきた



ぼくはいそいで

明かりのほとんど消えた

小児科外来に向かった



全館セントラルヒーティングで

暖めているはずのこの建物でも

1月末のこの時期の

この時間はめっきり冷え込む





一つだけ灯りの点いている

診察室を見つけた



看護士の岡島さんが

待機していてくれた



『先生 お疲れ様です』



『岡島さんこそお疲れ様です』



岡島さんは

この病院では

もう中堅の

頼れる看護士さんだ



たしか

30代前半の

シングルマザーだけど

子持ちとは思えないくらい

雰囲気はとても若く

きれいな人だ



『先生 咲原美羽

ご存知ですか?』



岡島さんは

僕より結構年上だけど

敬語を崩さない

きっちりした人



『えぇ いちおうは・・・』



また聞かれた・・・



『うちの娘が大ファンなんですよ

うちの病院に来たなんて

絶対に言えない』



と 岡島さんは微笑んだ



やっぱりすごい人気なんだな



と思ったところで

院内携帯が鳴った
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