BANG!!
「いーよ、おれが運転するんだから」
おれだってまだ死にたくないし、と付け足して、最初の声の主が唇を尖らせた。
「なにか言った?」
「いーや」
最初の声がとぼける。
「次の仕事が成功し、かつ高収入、かつ車が安くなければ実現は不可能だ」
青年の声が言い、遠まわしに拒否した。
「凜だって、こんな荷物に押し潰されながらの移動はやだろ?」
最初の声が反撃する。
「彼方の運転は信用できない」
凜、と呼ばれた青年がばっさりと言った。
「…凜ほどじゃないだろ」
ぼそっと彼方と呼ばれた声が呟いた。
「なにか言った?」
凜が声を低くした。
「いーや!!」
彼方が全力で否定した。