心臓に悪い料理店
あはは〜と笑い飛ばし、ダニエルは丁寧にテーブルを拭きながら答える。
全く深刻そうな声ではなく、むしろ明るく答えるダニエルに店長は苦笑した。
街で見つけた時もダニエルはこんな感じだった。
初めて会った時もダニエルはこの爽やかな笑顔で就職活動をしていた。
三ヶ月前、店長も一身上の都合により退職してしまった店員の代わりをヘッドハンティングしているところに、本屋から追い出されるダニエルを目にした。
ダニエルに声をかけてみると、ちょうど就職活動をしている最中とのことだった。
「で、さっきので何回目の面接だったんだ?」
近くの大きな公園のベンチに腰かけ、店長はダニエルに聞いた。
「えーっと、三十三回目です。ちなみに面接失敗記録を更新中です! 夢はその記録でギ○スに載ることなんですよ!」
「いや、別にそんなことまで聞いてないから。ところで、飲食店に興味あるか?」
目を輝かせて、一般的には不名誉な記録で載ることを夢見ているダニエルに少し呆れ顔で店長は問いかけてみた。