Bremen

二人目の奏者

 


………山を越えてバードとソナが辿り着いた街『ハイハット』。
そこは工業によって栄えた街だった。

反対側からは分からなかったが、バード達が越えて来た山の麓には採掘によって開けられた洞穴がいくつかあり、そこから鉱石を山積みにしたトロッコが何台も搬出されてくる。

「トロッコの搬入先は地下?
街の地下全体が工場になっているのか。
相当巨大な物を作っているみたいだな。
………?
巨大な物、か……」


バードの推理が正しかった。
地上には何台か、新品の楽機が並べて置かれている。
前に見たアコーディオン型の楽機の姿もあった。

「あいつら、ここから楽機を盗み出したな?
しかし鉱石採掘から楽機の部品精製、組み立て製造までを一気にやるとはな。
街自体が楽機製造工場だったとは恐れ入ったぜ。
なあ、ソ……」

さっきまで後ろに居たソナの姿が無い。


「………ソナ!?
チッ、まさか!
早まるなよ!!」

今日はやけに勘が冴え渡る。
ソナを探して駆け出したバードの嫌な予感は、やがて現実となって目の前に現れてしまった………

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