Bremen

天を衝く塔

 
『雅楽閃………
デヴァーシャだと!?
ワオン、いつ自分が奏者だと知った!?』

『裏切り者の問いに答える義理は無い。
知りたくば………
剣に聞け!!』


『そうだな……
そうさせてもらう』

ストレグンは轟震弦を取り出し、構える。
デヴァーシャも腰の両脇に装着された短い棒を両手に取り、構えた。
よく見ると、その棒は篳篥(ひちりき)の形をしている。


『そんな短い得物が、俺に届くと思うか?』

『どうかな?
物事を見た目で判断しない方がいい。
魔奏力………閃!!』


スワハシュキィィインッ!


篳篥の端から閃光が走り、刃となる。

『……二刀流か。
しかも魔奏力まで使いこなせるとは、正直驚いたぜ』

『これぐらいのことで驚かれては困る。
赤双牙、連刃!』

二本の剣は束で繋がり、一本の双剣となった。


『参る!!』

閃の称号は伊達じゃ無い!
デヴァーシャの踏み込みは風か、稲妻か……
ストレグンとの間合いが一瞬で縮まる!


(チッ!
腕を上げたな、ワオン!)

横一閃に払われた刃を紙一重、屈んで回避するストレグン。

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