KING CASTLE
「……」
「……」
さっき上がったテンションは、どこに?
それくらい大きな溜息をはく。
聞いてない。
こんなの聞いてないから。
コツ…コツ…
夜道に響くローファーの音。
静かに、二組の足音が聞こえる。
「……なんで、ついてくんのさ」
「だから、お前は何度言えばわかるんだ?俺の家がこっちにあるからしょうがねえだろ」
聞き慣れたムカつく声色に、イライラのボルテージがまた上がった。
だっておかしい。
「一緒に帰らないっていったじゃない!」
「一緒には帰ってねえっつーの、阿呆。たまたま歩く速度が近いだけ」
こんの…減らず口男!
淡々と言い放つけど、確実におかしい。
コイツの、この長い足で歩く速度が、あたしと一緒なはずがない。