忘却は、幸せの近道
「梨依ちゃん、一緒にいこ?」


私は、毎朝実依ちゃんと登校する。


実依ちゃんが心配だからとかじゃない。


私を監視するため。


あの日から、決まったルールだ。


私は、どうやっても家族崩壊させる方にしかいけないのか?


悲しすぎる。


上辺では、私は忘れたことになってる。


けど、みんなのぎこちない笑顔を見る度に、胸が痛む。


でも、私は、幸せなんか与えられないから。


みんなを悲しませるしかできない。


どんなに私が上手いこと取り繕っても。


わかってる。


けど、希望を持ちたい。


違う。



希望を持ちたかったから。


これだけでも深い傷を負わせたのに。


もし、これを知ったら、もっとだ。


だから、何もかも言えない。


私は、諦めたんだから。


涙を流しながら、先生に言われた言葉を今でも覚えてる。


先生のことじゃないのに。


自分のことのように泣いてくれたのが嬉しかった。
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