忘却は、幸せの近道
「どういう意味だ。」


いっくんが、いつもより低い声で卓に聞いた。


「梨依をレイプした男は、こいつなんだよ。」


私の秘密だったのに。



みんな信じられないって顔だ。


なんで言ってしまったのだろう。


もう会うことのない人だと思ったから。


卓と春奈先生にだけ話した。


話すつもりはなかった。


けど、辛いことを共有できる人がいることも大事だと言われたから。


「梨依、本当か?」


トーくんが、私に聞いた。


「.....。」


私は、静かに頷いた。


「誰も知らなかったんだ。
なら、こんな回りくどいことしなくてもよかったのかも....」


あいつは、さっきまでと一変しておかしそうに笑った。


「あんた....」


もっくんがいきなりあいつを殴った。


嘘。


なんで?


だって....


私....


望んでないよ。


私は、ただ.....
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