忘却は、幸せの近道
「梨依、ごめん。」


トーくんが、私に謝った。


「大丈夫。」


ただ、死なせて?


私の望みはそれだけ。


だって、結局あいつは生きてるんだから。


だから、さよならさせて。


どうしても、死にたいという気持ちが消えない。


「梨依、今行くな。」


卓が、私に近寄ってきた。


「卓、来ないで....」


「イヤだ。
お前がいない世界なんていらない。
なら、一緒に行こうか?」

どうして?


「私は....
卓には、生きてて貰いたい。」


「俺だって、梨依には生きてて貰いたいよ。」


私は、何も言えなかった。


怖い。


怖いの。


卓のいる世界には、一緒にいたい。


でも。


あいつのいる世界には、いたくない。


どうしたらいいのかな?
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