忘却は、幸せの近道

確かめる想い

「り、梨依?」


卓は、目を見開き私を抱きしめてくれた。


「卓。」


私は、卓の名前を呼ぶだけで精一杯だった。


「い、今、先生とか壱さんとか呼ぶな。」


卓、慌ててる。


「い....や。
卓と2人きりでいたい。」


私の願い。


聞いてくれる?


やっぱ、マズいよね?


「......。」


卓は、なんか考えてるみたい。


「や....やっぱ、大丈夫。
呼んで?」


卓を困らせたいわけじゃない。


「ちょっとぐらい、大丈夫だよな?
うん。
俺だって、梨依と同じ気持ちだよ。」


ホッとした。


よかった。


嬉しい。


「今日って....」


「あれから、一年たったよ。」


「えっ?」


「梨依が眠ってから一年たってんだ。」


私は、そんなに永い眠りに。


「......。」


私は、なにも言えなくなった。


そして、怖くなった。
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