あなたのスッピンも大好きです。

そうそう、
最近友達ができたんだ。


いや、正確には通学仲間?


そいつは僕が乗る停留所から五つ目先の停留所から乗ってくる。


座席はすべて埋まって、つり革に掴まって立つ乗客が出始めた頃、


五つ目の停留所にバスが停まる。



ブザーが鳴り、ドアが開き、数人乗ってきた中の一人がズカズカと一番奥までやってくる。


大きいスポーツバックを肩から提げて。


そして僕の目の前までやってきて



「おはようさーん」



と何とも陽気な声で挨拶をしてきたこいつ。


そう、こいつこそがさっき話した最近出来た通学仲間。


その名も和哉だ。


和哉は背はまぁまぁあって、細身だけれど筋肉はしっかりついていて、


運動神経もいい。


顔はイケメンというやつで、


ジャニーズの誰かさんに似てるだとか…


まぁこんなんだからモテないわけがなくて、


中学に入学をしてまだ数ヵ月だというのに、付き合った女子の数は片手では数えられない程に…


って、これらの情報はほとんど和哉自身から聞いたもので、


かなりの自分大好き人間なのだ。


ま、こいつがモテようが、誰と付き合おうが僕には関係のないこと。


そもそも恋愛とは無縁に近い位置にいる僕。


バリバリの文化系で、クラスの女子ともほとんど話さなくて、趣味は読書というなんとも地味なやつ。


それが僕。


こんなやつと誰が付き合いたいと思う?


まぁ僕自信が恋愛には興味がないんだけどさ。


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