金髪の君*完結




「---ぐっ…」



苦痛の叫びと共に、首筋に顔を埋めていた飯塚は私から離れた。
恐怖で閉じていた目を開くと


「ひっ…」


上から覗き込む、帽子を深く被った男が視界に入った。



「ひって酷いなぁ、あおちゃん。」


帽子を被っていて目は見えないが、歯を見せ笑う彼には見覚えがあった。


「大丈夫?」


手を差し延べた彼に、驚き止まっていた涙が溢れた。


「--グスッ…、ひっ…--か、かずぐん…」


上半身を起こし、差し出された手を取った。

泣きじゃくる私を優しく撫でる一樹に


「ごぉらぁ-!一樹!手伝いやがれ!!」


怒鳴る声。

懐かしい声にまた涙が溢れた。



「はいはい」


一樹は、深く被っていた帽子を取り


「これ、未来から貰った大切な物だから大事に持っててね。」


ポンポンと頭を撫で、声の主の方へと向かった。


「あー、邪魔くせぇ!!」


そう言い、黒い髪のカツラを投げ捨て相手の脇腹に蹴りを入れた。


「--ぐっ…」


よろけた隙に、こめかみに拳を食らわした。

床に倒れたこんだ男を足で踏みつけ


「この銀様に勝つなんざ80年早いわ!
俺に勝てるのは美穂だけなんだよ!!」


惚気?を吐いた。


「ぎ、銀くん…」


涙も引っ込み、呆れて名を呼ぶ私に


「よぉー、葵ちゃん久々ー!!

助け呼ぶのおせーから!!」


次々襲ってくる男達を避けながら、手を振る銀髪。





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