―百合色―
今の俺は、もしかしたら透明人間になっているのかもしれない。


俺の存在に気付かないように、俺の横を通り過ぎていく生徒たち。


そして、百合さえも気付いてくれない。


こんなに近くにいるのに。

俺が見えてないわけ?


俺は右手を強く握り締めた。


ギュッと、怒りを込めながら。


そして、二人の方へ歩いていった。


『百合!』


いつもより低い声で君を呼んだ。

眉間にしわを寄せ、
鋭い目付きで君を見た。


『あっ光輝!』


百合は笑顔でこちらを見た。


それと同時に、稲葉先輩もこちらを見る。


『何やってんだよ!』


俺は百合の肩を掴み、
先輩との距離を長くした。

『えっ何って?』


百合は何故俺がこんなにも怒っているのか分からないようだ。


何度も何度も俺を見る。


でも俺は百合の方など見なかった。


ずっと、先輩を睨んでいた。
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