―百合色―
電車の揺れが、気持ち悪くて仕方がない。


そして、バスの揺れも。


そんな難関をクリアした俺は、学校へと着いた。


もう授業が始まっているせいか、辺りはシーンとしていた。


冷たい風が吹くのみ。


俺は携帯の時計を見て、
時刻を確認した。


『あと5分か…』


あと5分で一時間目が終了する。


俺はのんびり歩き、
残りの5分は過ぎていった。


下駄箱に着くと、
さっきまで静かだった学校に、話し声で埋まっていた。


俺は靴を履き替え、教室へと目指した。


百合に会うために。


だが、百合は目の前にいた。


驚かせようとしたのが、呆気なく終了した。


でも、百合は俺に気付かない。


それもそうだろう、
百合は誰かとの会話に夢中だったのだから。


俺は百合たちの方へと近付く。


百合と話していた人は、
俺の知らない人だった。


会話途中で聞こえた名前。

それは、俺の中を狂わせた。



《稲葉先輩》



──…百合…
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