―百合色―
『光輝!心配したんだよ─?教室行こ?』


百合が俺の手を握ってきたが、俺は離した。


今の俺はそんな冷静ではない。


『こう…き?』


俺は百合をちゃんと見た。

あの目付きで─…


『…あれ誰?』


低い声で、俺は尋ねた。


『…稲葉先輩だよ?二年生の…』


百合は俺が怒っているという事が分かったのか、
声を震わせて、こう言った。



『何で?』


『なっ何が?
今日の光輝意味分からない…教室行くよ?』


百合が階段を上がっていく。


俺は百合を追い掛け、
百合の腕を掴み、
無理矢理振り向かせた。


『誰だよ!稲葉先輩って!俺が知らねぇやつじゃん!何で?俺が休んで、苦しんでいる時にお前は先輩と仲良くなったわけ?』


俺の怒鳴り声が、誰もいない階段や廊下に響く。


──…キーンコーンカーンコーン…


タイミングが悪い時に、
チャイムが鳴った。
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