―百合色―
『こ─うきっ!』


いきなり俺の背中を思いきり叩いたやつがいた。


『いって…何だよ亮…』


『一時間目生物だぞ?
生物室行こうぜ!…光輝…泣いてんの?』



俺の目には、たくさんの涙が溢れていた。


きっと胸が苦しくなって、それが涙に変わったのだろう。


『ちっちげーよ!鼻水だ、ばか』


『……お前そんなとこから鼻水出すなよな~!』


亮は気を使って、
俺の冗談に合わせてくれたのだろう。


優しすぎなんだよ、ばか亮。


俺は机の中から生物の教科書を取りだし、
二階にある生物室へと向かった。



廊下は、とても寒い。

『さみぃ…』


『しょうがねぇだろ!生物室はあったけぇから少しは我慢しろ!』


歩くのが遅い俺に向かって、亮は言った。


俺…幸せモノだよな。


髪の毛をセットしながら歩く亮を見て、
俺はそう思った。
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